Base Ball Bear、略してベボベ。テレビへの露出こそ少ないものの、既に10年以上活動を続けており、ファンからの人気も根強い中堅バンドです。私は普段音楽をあまり聴かない方なのですが、このベボベだけは別。新曲が出るたびにリピートし、全ての音源を所有しています。というか、ベボベ以外の音楽はあまり聴きません……。なので、他のアーティストやバンドと比べてどうこうという話はできませんが、ベボベのこの曲がすげえんだぞ! と主張するだけならお任せあれ。そんな私が、青春編と題してベボベのおすすめ青春ソングを10曲紹介します。
抱きしめたい
3rdシングルで、2ndアルバム「十七歳」にも収録されています。この曲以前のベボベはナンバーガールの影響をモロに受けていて、歌詞には情景描写や色彩が多用されることで幻惑的な世界観を演出していました。しかし、この曲は歌詞のカラーが一変。「抱きしめたい」とひたすらに繰り返し、不意の衝動と理性との葛藤を描いています。ずっと、抱きしめるための理由を探してるような歌です。何度聴いてもそのストレートさにこっちがおかしくなりそうです。
BREEEEZE GIRL
Base Ball Bear – BREEEEZE GIRL
CMにも使われていたので知っている方も多いかもしれません。10thシングルで、3rdアルバムの「(WHAT IS THE) LOVE & POP?」にも収録されています。「抱きしめたい」のような変態性はなく、ストレートな曲に仕上がっています。要するに、好きな子に対しての「こっち向いて~! 俺を見てー!」を極限まで爽やかに描いた曲。曲の構成もシンプルですが、1番と2番での韻の踏み方が心地いいです。
short hair
PVに本田翼が出ていることが話題になったせいか、この曲がベボベのPVの中でもダントツの再生回数を誇っています。歌詞もど直球で、「僕は今いま僕のことだけ 僕がいま僕のことだけ 考えられればきっと傷つかないのに」、とストレートな片思いソング。 しかし、ボーカルの小出祐介によると、僕と君の関係性については歌詞で敢えて触れていないとのことです。つまり、恋愛ソングとも取れるし、友達や家族のことを歌った曲とも解釈できるうえに、二人の距離感についても何ら言及はない、という。聴く人の数だけ場面が浮かび上がるというなかなか考えられた曲です。
不思議な夜
三ヶ月連続シングルリリースの3作目。19thシングルであり、6thアルバム「C2」にも収録されています。聴いていただければ分かる通り、言葉数で攻めてきます。「築地」や「首都高速11号」などの固有名詞も交えつつ、「別に深い間」じゃない二人が夜通し散歩をしつつお互いを意識していくという曲。青春の1ページとも取れますが、真夜中という舞台がどこか大人の香りを漂わせます。この頃からベボベは2周目に突入したとされているので(というか自分たちでも2周目というワードを使っています)、大人の主人公が散歩をしていくなかで青春を思い出すような、そんな風にも解釈できますね。
初恋
2ndミニアルバムのリード曲。長めのギターイントロから始まります。この曲のすごいところは、「初めてじゃない この恋を 終わらない最初の恋にしよう 最後の恋にしよう」という歌詞で締めくくられ、初恋という言葉の概念を変えてしまったこと。初恋の甘酸っぱさも十分含まれているんですが、それよりもこの恋を終わらない最初で最後の恋にしてやるぜ! という決意表明の意味合いが強いです。サビからして「初恋のようさ」ですからね。そしてそこから続くギターのアウトロに涙。臨場感と余韻がたっぷりと用意されており、出来のいい短編映画を鑑賞したような後味。
Transfer Girl
3.5thアルバムの「DETECTIVE BOYS」に収録されている曲。シングルや表題曲ではないので、PVはありません(なのでリンクも貼れず……)。ファンの中でも名曲と名高い1曲で、タイトルの通り転校してしまう少女への想いをつづった歌です。これはもうひたすらに情景描写の連続。「神様、あの子を創ったのは正解だね」と神様にまで上から目線でものを言う主人公の儚い恋。月や水、風といった自然の風景を巧みに用いることで、彼女への想いや転校という抗えない現実を瑞々しく描写しています。もはやただの詩人だろ、小出祐介。
BOYS MAY CRY
こちらは9thシングル「神々LOOKS YOU」のカップリング曲。恋愛ソングではなく、孤独を抱えた日常を送る人々に対してのベボベからの応援歌です。語りかけてくるタイプの歌詞の曲といえば「17才」もそうですが、あちらは「もっと自信を持てよ」という励ましなのに対し、この曲は「辛いときは俺たちがついてるぜ」というアニキ気質な1曲。ベボベでこういう歌詞の曲は少ないですね。
USER UNKNOWN
11thシングル「Stairway Generation」のカップリング曲。一言で言えば失恋ソングです。「USER UNKNOWN」とは、送り先のメールアドレスが間違っていた際に返ってくるメールのことですね。「ユーザーが見つかりませんでした」という。要するに、別れた(おそらく一方的に別れを告げられた)彼女にメールを送りたいけど彼女はもうアドレス変えちゃってたという曲です。失恋ソングは数あれど、メールアドレスの変更を題材にするのは珍しいのではないでしょうか。また、さらに特徴的なのが「ああすればよかったこうすればよかった」と女々しく彼女への対応を後悔するような曲ではないこと。彼女との恋愛を失敗としてではなく、別れてもまだ胸(と携帯の履歴)に残る大切な思い出として描いている辺りがやはりベースボールベアー。基本的にベボベの曲は自分が悪いと認めるようなことってあんまりないです。自意識過剰さこそがベボベ。最近では自分がマイノリティーであり悪であることを自覚しながらも「これが俺だ!」と自分を貫き通すような曲まで作っています。この自意識過剰さこそがベボベ。
でも、今の高校生とかってもう全部やりとりLINEなんですかね……。USER UNKNOWNとか分からないのかな……。
HIGH COLOR TIMES
インディーズ時代の名曲。ズンと胸に来る歌詞ではなく、情景描写を楽しんで聴いてみてください。インディーズ時代から1stアルバム「C」までの曲は大体が短編小説のような趣になっていて、特にこの曲は「ハイカラ」と「HIGH COLOR」の言葉遊びが楽しい非常に視覚的な1曲。幻惑的であり、どこか浮世を思わせる不思議な空間。現在のベースボールベアーはまあメンバー全員が30代ということもあってか「現実」を歌った歌詞が多いのが特徴ですが、この頃の空想物語も素晴らしいのです。例によってPVなどはありませんが、機会があればぜひ聴いていただきたい1曲。
17才
ザ・青春。もうただの青春です。こちらもベースボールベアーからの応援ソング。小出祐介曰く、「当時の自分を救えるような曲を書いた」とのことで、私も青春時代この曲に何度も励まされました。2ndアルバム「十七歳」の1曲目に収録されており、アルバムを再生した瞬間にガツンと心を持っていかれます。多くは語りません。「生きてる気がした気持ち それがすべてだ」という歌詞にすべてが集約されています。
しかし、この曲の難しいところは「十七歳」というアルバムに収録されていること。この曲だけなら素晴らしい青春応援ソングなんですが、アルバムを通して聴くことで小出祐介の、ベースボールベアーの闇を垣間見ることができるというか……。このように単体で聴くのとアルバムを通して聴くのとでかなり聴こえ方やメッセージの響き方が異なるのもベボベの特徴。そういった細かい設定に、小出祐介の病的なまでのこだわりを感じます。
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最後に
Base Ball Bearのおすすめ曲を青春編と題して10曲紹介しました。正直、ベボベの魅力はこんなもんじゃないぜ! と語り始めればキリがないのですが、ベボベをまだ知らないという方はとりあえずこの10曲を抑えていただければベボベの1つの側面を把握していただけるかと思います。ベースボールベアーは決して青春だけを歌っているバンドではなく、一般受けしなさそうなメロディーや歌詞の曲もたくさんあります。(むしろ現在の音楽シーンへの反抗を歌った曲の方が多いです)。ベスト盤も出ていますので、興味を持った方はぜひいろいろと聴いてみてください。
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