剣崎と始の登場に度肝を抜かれながらも、そこから数分後には始まってしまうリュウソウジャー第2話。説明を極力省いて勢いとカメラワークで乗り切った1話に対し、今後の作品の流れが丁寧に提示されていたと思う。むしろ1話が流されるままに視聴するような感覚だったのに対し、この2話でいつもの”ニチアサ感”が出ていたのもよく、そこに上堀内監督の独創的な巨大戦が加わって印象的な回になっていた。
第1話の感想はこちらから。
コウが意外とバカ
まず驚いたのがコウのキャラクター。1話では詳細なキャラクター描写は省かれていたので、リュウソウジャーの3人ですら典型的なレッド、ブルー、ピンク観を当てはめるしかなかった。しかし今回はマスター達を失って初めての戦い。3人の場面も多く各キャラクターを把握することができたが、コウが意外にもバカだった。確かに体躯に似つかわしくない高めの声から若干の幼さは感じることができた。しかし、それは役者の問題だとスルーしていたので、まさか大事な局面でリュウソウルを間違えるほどのバカとは……。しかし、マイナソーの主の家族を探すことを即決するなど、情に厚い部分もきちんとあって馴染みやすいキャラ造形になっている。メルトとアスナについてはまだ情報が足りないが、次回はグリーンとブラックが登場するらしい。
ドルイドンの目的
今回の要はドルイドンが地球に再びやってきた理由と、マイナソーの仕組みについて。脚本家の山岡潤平さんのTwitter等では代々のリュウソウジャーは自然発生するマイナソーから人々を守ってきたと説明があった。要するに、今のところの設定ではドルイドンとマイナソーは別物。人間を排除して地球を支配しようと企むドルイドンは、マイナソーの力を利用していたということらしい。そして、そのマイナソーは人の負の感情から生まれる。彼らが地球に戻ってきたのは、マイナソーを人工的に作る技術を開発したため、とコウ達は予想した。
これについては疑問がある。なぜドルイドンにはマイナソーが必要なのかという点だ。正直人類を抹殺するのならタンクジョウだけでも十分な気がする。OP映像などからして他にもドルイドンの幹部は複数存在するようだし、彼らが束になって総攻撃を仕掛ければ人間くらいあっさり絶滅させられるのではないだろうか。ただ、グリーンとブラックや更なる騎士竜の存在を考えるとやはりマイナソーの力に頼らなくてはならないのかもしれない。もしくは、最高値まで成長したマイナソーを手駒にするのだろうか。いや、まだドルイドンの実態も未知のままなので語られていない真の目的が存在する可能性もある。
また、今回マイナソーを生み出したのはクレオンだった。公式サイトのキャラクター紹介では彼の項にのみ「マイナソーを生み出す特殊能力を持つ」と書かれているので、ドルイドンの侵攻において彼の存在はかなり重要なのかもしれない。しかし、他のメンバーはマイナソーを作れないとするとクレオンは終盤まで生存が確定する。というか、マイナソーを意図的に生み出せるようになったから地球へ戻ったのだとしたら、クレオンに頼り切っているというのはどうなのだろうか、と。やはりドルイドンが地球に戻ってきたのには他に理由があるような気がしてならない。
トーンが一気に明るく
1話のハードな展開とは打って変わって、かなりライトな作風になっていたのも印象的。「仮面ライダーエグゼイド」なんかは九条貴利矢の死んだ次の回で彼の名前が連呼されていたが、コウ達がマスターの死を気に掛ける様子は見られなかった。これに関しては描写が薄いなどと文句を並べたいわけではなく、リュウソウジャーなりの明るいトーンをしっかりと提示するための策だと割り切っている。2話にしてくよくよ悩む戦隊というのもそれはそれで斬新だが、販促のペースを考えるとあまり立ち止まってもいられない。また、この切り替えの早さが彼らの芯の強さを表しているともいえる。ドルイドンが復活してしまったのだから、立ち止まっている暇はない、という。
感心したのは次々とリュウソウルを繰り出す点。戦闘だけでなく探索にも使い、2話の時点で既に8つの竜装用のリュウソウルが使われている。こういったアイテムは時間をかけて1つずつじっくりと演出していくのが常だが、そこはさすが正式な修行を積んだリュウソウジャー。リュウソウルを間違えはすれど、次々と戦法を変え見事な連携で敵に立ち向かう姿はヒーローそのものだった。アイテムが多い作品は(特に平成2期仮面ライダーがそうだが)そのアイテムを主軸にした物語が描かれることが多く、それが時に相乗効果となり時に足枷となる諸刃の剣だった。しかし、ここにきてある種の答えが見つかったような気がする。「新しいリュウソウルだ!」と1話かけて見せ場を用意するのではなく、様々なリュウソウルを矢継ぎ早に使う。今後の戦隊シリーズにもこのシステムが導入されるのだろうか。
また、2話にしてリュウソウジャーのストーリーの流れが明らかになった。マイナソーは人間の負の感情から生まれるということで、おそらくはマイナソーが生まれる下地となったゲストをリュウソウジャー5人が救っていく流れになるだろう。つまり、ゲストとの関わりが必要不可欠になる仕組みだ。ゲスト怪人が敵幹部によって人間から生み出されるという流れは電王以降の平成仮面ライダーに多くみられる手法だが、戦隊ではあまり例がない。5人だけでなくゲストの心情まで描くとなると、1話完結では厳しそうな印象を受ける。平成ライダーのように2話完結にするのか、それともライダーとは全く違う流れでいくのか。
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キシリュウオー
前回はなんだか勢いに任せて突然登場したキシリュウオースリーナイツ。その後ティラミーゴはコウ達の前から姿を消してしまったらしく、騎士竜を探すところから第2話が始まる。で、近所の動物園のような場所に寝っ転がっていたというオチなのだが、これはボケととっていいのだろうか。てらそままさきが声を当てるということで爆竜程度におしゃべりなのだとてっきり予想していたが、今回はティラ~しか発さなかった。また、マイナソー出現時に寝っ転がっていたのは、一体どういうことなのだろう。マイナソーと戦おうという意思は希薄なのか、それともマイナソーを感知する能力が備わっていないのか。コウの説得ですぐに戦いへと赴いたのでおそらく後者だとは思う。
また、リュウソウジャー独特のジョイント合体が今回も炸裂。龍騎のストライクベントを思わせる右腕に頭部を持ってくる形態はかなり良かった。というか、ロボの造形に力が入りまくっている。いやロボだけじゃなくスーツも武器もリュウソウルも。BANDAIが本気でかかってきた感がある。
余談だが、今回のマイナソーはユニコーンだった。ユニコーンでフェンシングとはどっかで聞いた組み合わせだが、それは置いといて。おふざけ感満載のクサソウルに対しても口呼吸できちんと対策をするなど、かなり賢い一面も。腹部に顔がついていて頭部は角だけという造形もよかった。ヒーロー側だけでなく、マイナソーのデザインも見どころである。
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次回への期待
遂に、満を持してリュウソウグリーンとブラックが登場。「スーパー戦隊最強バトル」でも活躍していたので初見的な面白みは薄いのだけど、コウ達との接触は何やら物議を醸しそうな予感で楽しみ。予告では「お前ら弱すぎでしょ」とかなり高圧的な態度だったので、仲間になる過程も含めて想像が膨らむ。また、今回のラストで彼らに接触してきた謎の男の存在や彼らにマスターはいるのかなど、気になる点が満載。
あとはクレオンに見つかってしまったうい。この二人は何かと縁があるなあと思いつつ、次回はういが危機に陥る様子。ういと尚久も今のところは清涼剤のようなコミカルな役割だけど、母親とかはどうしてるのだろう。意外にシリアスな背景があるのかもしれない。
個人的にはやはりEDダンスでのバンバのキレが頭から離れないので、ぜひアクションや演技を堪能したいところ。他の4人より年上のリュウソウブラック、かなりおいしそうなポジションなので活躍に期待したいところだ。