パイロット版が終わり、初の中澤監督回。1話2話のジェットコースター的展開から一転し、安定した回になっていた。意外にもトワとバンバの登場はインパクトだけに頼り切り、ういの覚悟やメルトの変化など、キャラクターを平等に描く丁寧な作り。
第2話の感想はこちらから。
マイナソーの親
トワによると、マイナソーの親を殺せばマイナソー自体も消滅するらしい。マイナソーが親の生命力を奪って成長していることを考えると確かに納得のいく説明である。しかし、躊躇なくういを殺そうとするトワとバンバにコウは「ういは友だちだ!」と大反発。世界を救うために犠牲を容認できるかという点は、ヒーローものには付き物のテーマ。ちょうど同日に十数年ぶりにキャストが集ったスピンオフが公開された『仮面ライダー龍騎』でも、ヒロインを殺せばライダー同士の戦いを終わらせられるということが明かされ波紋を呼んでいた。で、こういった場合ヒーロー側の主張は往々にして「どっちも救う」というもの。要するに、誰一人犠牲を出さないという綺麗事なのだが、そこにどれだけ説得力を持たせるかどうかがヒーロー特撮の醍醐味だとも思う。今回コウがういを止めたのは「友だちだから」だったが、仮に友だちところかむしろドルイドン側につくことを選んだ人間に対してはどういった行動に出るのだろうか。「人間は守る者だ」と言ってしまわない辺りが、今後の雲行きを怪しくさせている。
トワとバンバにドルイドン絶滅強硬派のイメージがついたが、彼らがういを殺そうとしたのは単純に騎士竜と出会っていないためであった。つまり、騎士竜なしでは完全体となった巨大マイナソーを倒せない、なんとしてでも巨大化は防がなければならないというわけだ。次回は早くもトワの騎士竜タイガランスが登場するようなので、彼らのマイナソーの親に対しての態度は軟化するかもしれない。それでも、コウ達とはたびたび軋轢を生みそうだが。
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トワとバンバ
既にある程度述べてしまっているが、今回はトワとバンバの初登場ということで彼らへの感想をまとめる。第一印象としては思った以上にテンプレなキャラクターだなあ、と。多弁で子供っぽいトワと寡黙なバンバ。足して2で割ってようやくちょうどいいくらいではないだろうか。トワはかなり嫌味なキャラクターに見えたが、子供っぽさがそれを抑えているような印象。ハヤソウル使いの最速キャラというのも面白い。今回の戦いを経てコウ達のことはある程度認めたようなので、今後に期待……と思いきや次回コウと一騎打ちだそうで。そこから和解→巨大戦で合体という流れだろうか。
ここ数年の中でもダンスのキレがピカイチなバンバ。しかし、残念ながら初登場のインパクトは弟のトワに持っていかれたような印象。落ち着いている上に寡黙なのでギャグ回で実力を発揮しそうな予感がする。一人だけ役者さんの年齢も飛びぬけているので、5人の中でもお兄さんポジションなのだろうか。騎士竜の登場もまだ先になりそうなので、彼の活躍はもう少し先だろう。
ういの覚悟
自分が死ねばマイナソーも消滅すると知ったういが、自ら命を投げ出そうとするシーン。というか、メインキャラであるういからマイナソーが生まれるのが第3話って…。やはりリュウソウジャーのペースには驚かされてばかり。リュウソウジャーの5人は人間とは少し違う扱いらしいのでマイナソーが生み出せるかは不明だし、他の候補は尚久くらいだろうか。演じる吹越満の魅力も相俟って深みのあるキャラクターに仕上がっているが、その達観した口調の裏には何か大きなものを背負っているように感じてならない。また、近年のスーパー戦隊シリーズは1クールごとに一区切りつく構成になっていることが多いので、そういった展開にどんなマイナソーが登場するのか、はたまたドルイドンの幹部が出現するのかも見どころではないだろうか。
動画を投稿しているういからメデューサのマイナソーが生まれるというのも物凄い皮肉。まあ、その実態はういの動画が恐ろしくつまらないというものだったのだけど……。しかし第3話にして命を投げ出すようなシーンがあるというシリアス感がやはりリュウソウジャーの特徴と言えるのではないだろうか。マスター達の消滅(これについては生存説が濃厚でもあるが)や自殺など、ネガティブな感情から生まれる敵を描く作品として避けられないテーマに果敢に挑んでいく姿勢は好感が持てる。ニチアサの枠でそれがどこまでできるのかは分からないが、『仮面ライダーウィザード』が「絶望」というテーマを掲げながらその重さが感じられない残念な出来になってしまったことを考えると、初っ端からフルスロットルでぶつかってきているなあという印象を受ける(ウィザードにも良い点はもちろんある)。この調子で最終話までネガティブから逃げ切らないような作りでいてくれると嬉しい。
アクションについて
リュウソウジャーの特徴と化すかと思われた躍動感たっぷりの爆走キシリュウオーはやはり序盤だけの登場となった。今後も節目の回や終盤で復活してくれるかもしれないが、少なくとも毎回ダッシュできるほどの予算は組めなかったということだろう。また、トリケーンとアンキローゼがCGなのも個人的にはマイナスポイント。レッドのロボすらCGであることも少なくないのでこれに関しては仕方ない面もあるのだけど、やはりミニチュアでやってほしかったという思いもある。その点、キシリュウオーの変形がきちんとミニチュアなのは嬉しいところ。
ルパパトでは等身大戦で360度カメラを用いた特徴的なカメラワークが用いられていたが、リュウソウジャーの強みはやはりリュウソウル。今回も新しいリュウソウルが次々と登場していく。近年のくどくどした新アイテム説明に慣れていたこともあって、次々と新たな力が使われていく様は圧巻。ギャクソウルなんて、「え、今何した?」というほど鮮やかだった。そういえばリュウソウジャーはリュウソウルをどこで手に入れるのだろう。全て代々継承されてきたものなのだろうか。『スーパー戦隊最強バトル!』ではマスターレッドが手にしたはじまりのリュウソウルがコウの用いるリュウソウルになる描写があったが、あれは特別なのかもしれない。となると、今後リュウソウルを手に入れる展開というのはあまりなく、マイナソーの親のエピソードが中心になると考えられる。ストーリーに重きが置かれることに期待したい。
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さいごに
ようやく5人が揃ったリュウソウジャー。しかし、トワとバンバはまだ別の立ち位置であるため彼らの素性は謎に包まれている。いずれ5人が立ち並び5体の騎士竜が合体する日もくると思うが、それはもう少し先になるのだろう。トワとバンバの戦闘力は他の3人より頭一つ抜けているような印象だったので、その実力差を彼らがどう埋めていくかも注目だ。個人的にはやはりバンバが気になる。ういを真っ先に殺そうとする冷酷な一面もあるが、これからはどのように転がっていくのだろうか。彼の寡黙さに早くもギャグ回が恋しくなった。
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