第3話ではグリーンのトワとブラックのバンバが参戦したが、今回はトワのキャラクターを掘り下げる展開になっていた。ただ、ここにきてスピード感が抑えられてきたというか、どうもリュウソウジャーという作品が抱える問題点が浮き彫りになっていた印象がある。いろいろな意味で残念な回だった。
第3話の感想はこちら。
コウとトワ
予告ではコウとトワの対決を前面に押し出していてサブタイトルも二人の戦いをにおわせるようなものとなっていたが、実際には戦闘ではなくジャンケンだったり落ち葉の切り方だったりとかなり子供じみた戦い(?)だった。そんな二人を見てバンバが呆れるという展開。また、戦闘中にも倒したドルン兵の数を競うなど、バトルというよりはゲームのような対決となった。これ自体は別に特段文句をつけるようなことでもなく、むしろニチアサという土壌を考えれば子どもが楽しめるようにという配慮なのだろうが、正直キャラクター性を置き去りにした演出に嫌気がさしてきたのも事実である。
特にコウの描写。誰もが知っている通りスーパー戦隊におけるレッドというのは、戦隊のリーダーであり物語の推進力になる絶対的な存在である。頼れるリーダーや熱血漢など、43作もあればレッドも多種多様なのだが、当然どの作品のレッドも何かしらの信念を持っている。だが、リュウソウレッド=コウからは信念や覚悟を何も感じない。彼がマイナソーやドルイドンと戦っている理由が「リュウソウジャーだから」の1点しかないのである。出自自体が戦隊になることを宿命づけられているレッドはこれまでにも何人かいたが、その多くが出自だけでなく「敵を許せない」という個人的な感情もしっかりと組まれていたと思う。だがコウの描写はヒーローのテンプレートでしかない。とりあえず怪人が出たら倒す、マイナソーの親を殺したりはしない。コウの正義感はこの辺りに見られるが、逆に言えばこの2つはヒーローとしては当然であり、むしろこれを破る方がはるかに難しい。
スーパー戦隊は長い歴史を持つが故に、キャラクターに中身が伴っていなくとも「お約束」だけで物語が構成してしまえるという強みを持っているが、それではただの子供だましではないだろうか。前作の『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』は緻密に構成された物語と重厚な人間関係があらゆる層にウケた形だったのに対し、リュウソウジャーはキャラクター描写を置き去りに、とにかく勢いだけで進んできた。しかし、1年をかけて放送される番組の主役に、4話にして何一つカリスマ性を感じないというのは厳しいものがあるように思える。まして3人と相容れなかったトワがコウ達に感化されてマイナソーの親を殺すことを躊躇するという展開なのに、である。トワがコウ達のどこに感銘を受けたのか全く分からない。これは勢いでもなんでもなく、単なる描写不足でしかない。視聴者側にはコウはただのバカで幼稚な印象しか受けないが、そんなことは無視され物語は進んでいく。メインプロデューサーも脚本化もスーパー戦隊を初めて担当するということは第1話の記事でも書いたが、正直に言うとこの布陣への期待は薄れてきてしまっている。
キシリュウオータイガランス
キシリュウオータイガランスが満を持して初登場でした。ブルーの時とは違ってこちらは素直に仲間入り。まあキャラクター描写の薄いリュウソウジャーで騎士竜との話までやっていたらそれはそれで問題がある気はする。で、これも第1話の記事で書きましたが、キシリュウオータイガランスがめちゃめちゃかっこいい!
バンダイ 騎士竜戦隊リュウソウジャー 騎士竜シリーズ04 DXタイガランス
- 出版社/メーカー: バンダイ(BANDAI)
- 発売日: 2019/03/30
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特に胸部にある緑色の翼のようなパーツが完璧。マイナソーを等身大では撃破せずに巨大戦のみでの撃破という掟破りのルーティンからも分かる通り、リュウソウジャーはロボの展開にかなり力を入れているようだが、このデザインは大正解ではないだろうか。特にここ数年の作品ではギミックが重視されるロボが続いたこともあり、素直にデザインがカッコいいというスタイリッシュさに感動を覚える。この調子で追加戦士のロボなどもいいデザインが続いてくれることを願いたい。
ただ、既に全力ダッシュなどで機動力抜群のキシリュウオーが最速の騎士竜タイガランスと合体しておいてブースターでの加速というのはちょっと悲しいような……。予算の都合であまりダッシュが披露できないことは重々承知の上だが、できればもう少し演出に工夫がほしかったところ。
構成の拙さ
今回登場したのはクラーケンマイナソー。入院中の子どもがマイナソーの親化と思われ、さすがのトワとバンバも子どもを殺すことは躊躇するという展開だった。しかし、マイナソーの行動に違和感を持ったバンバがマイナソーの親が子供ではなくその父親だったことに気づくというミスリードで引っ張るという流れなのだが、このミスリード自体にまるで意味が存在しないという酷い構成になっている。全く意味がないかと問われると、一応バンバとトワがマイナソーの親を即殺そうとならなかったことで第3話との差別化はなされているのだが、前回物凄い剣幕でういを殺そうとした二人が子どもならあっさりと引き下がるというのも妙な話で。
しかも、子どもが親ならこういう習性があるんじゃないかと様々に対策を練ったのにまるで通用しなかった→どういうことだ? という展開なら理解できるのだが、マイナソーを倒すのに特に苦労したわけではないどころか話の主軸は騎士竜探しにあったため、マイナソーの親がどちらだろうが大した意味はないのである。これはもうバンバに「家族より大事なものはない」と言わせたいだけのミスリードである。『仮面ライダーW』や『仮面ライダーウィザード』では怪人の正体やその狙いで巧みに視聴者をだましてきたが、今回は全く必要のないミスリード。構成が拙いという以前に、何故ミスリードを狙ったのか全く分からない。
最後に
コウへの不満を長ったらしく書くだけになってしまったが、これが第4話の感想なのだから仕方がない。キャラ変とまではいかなくとも、コウの信条や戦いに対する向き合い方を描くエピソードが早く来てくれればいいのだが。しかし次回もバンバに焦点があてられるようで……。今のところ一番深みがあるのがこのバンバ。何せ寡黙だし、他のメンバーよりも年上だし(公式にコウ達の年齢は明かされていないが役者的に)、「家族より大切なものなどない」という何やら重い過去の香りがするセリフまで言うし。そろそろ5人が立ち並ぶ展開も近いと思うので、その辺りでコウのキャラクターに深みが出ればいいなと。
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