奇しくも『シン・ウルトラマン』の発表と重なってしまったが、『ウルトラマンタイガ』の感想第2弾である。今回は3話と4話に関して。
第3話にしてタイガの生き別れた仲間、ウルトラマンタイタスが登場。この回はなんと言っても「タイタスさん…!!」の一言に尽きる。後半まで出てこないくせに圧倒的な力技で話題を掻っ攫ってしまうタイタス。ヒロユキの幼い頃の友達がトレギアに殺された次の回なのに。悪人に大切な人を奪われた男が怪獣となり復讐を目論む哀しい話なのに。そのマッシブな体つきが全てを持っていってしまう。ずるいぞ、タイタス。
元々ウルトラマンシリーズでパワー系と言えば、主役ウルトラマンの派生フォームとして登場することが多い。古くはティガのパワータイプ、最近だとオーブのバーンマイト辺りだろうか。オーブはサンダーブレスターも筋骨隆々としており、暴君的な戦法も力強さを印象付けている。しかし、ウルトラマンにおいて筋肉や力とはパワーアップの一種であり、オーソドックスなフォルムではない。力に特化した形態はあれど、力に特化したウルトラマンはいなかった。そこに現れたのがウルトラマンタイタスである。
『ウルトラマンタイガ』という作品は、従来のウルトラマンがフォームチェンジで戦法を変えることによってアクションの幅を広げていたのに対し、3人のウルトラマンが1人の人間に憑依するという斬新な設定をウリにしている。要はフォームチェンジがウルトラマンの切り替え、すなわち人格の切り替えと同義なのだ。これが『仮面ライダー電王』のシステムに近いことは1・2話の感想でも触れた。戦法の1つとしてパワー型があり、それが『タイガ』のコンセプトに組み合わさって、パワー型のウルトラマンが生まれたという経緯は理解できる。しかし、そこから今流行りの(?)筋肉を前面に押し出したスタイルのウルトラマンが登場するのが面白すぎる。発想がズルい。仮面ライダーなら全然受け入れられるタイプのキャラクターなのだが、あの巨体でポージングをキメるのはズルい。
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ただ、第3話の物語の中では唐突にタイタスが登場した感があって、そこは残念。また、せっかくのタイガとの再会なのに「生きててよかった~」くらいのコメントなのも悲しい。確かに怪獣が街を蹂躙しているわけで長々と話している暇はないのだけれども。この簡素な再会は続く4話のフーマでも同様だった。
第4話はホマレにフィーチャーした回。1話でそれとなく宇宙人であることが示唆されたキャラクターで、その正体が物語の根幹に関わるのかと思っていたが意外と早く元ヤンであることが明かされた。演じる諒太郎さんは演技経験が浅いのか、グレた演技がどうもしっくりこない。ゲストの後輩宇宙人役の人の演技力が凄かったので余計に比べてしまう。彼が更生したのは、相手を傷つけることの痛みを知ってしまったからというこれまた悲しい話で、3話4話と新ウルトラマン登場のテンションに相反するかのようにシリアスな物語が描かれた。
今後で重要そうな出来事はホマレの前にもトレギアが登場し、彼の後輩を利用していたことが発覚したこと。しかもその後輩が亡くなってしまうため、第2話のヒロユキと同様にホマレにもトレギアとの因縁が生まれた形だ。やはり1クール目はE.G.I.S.対トレギアの構図になるのだろうか。そうするとピリカやカナにも期待したいところ。次回はコメディチックなピリカ回らしいので、またトレギアが暗躍するのかもしれない。
そして第4話でタイガ達に合流したウルトラマンフーマ。スピードタイプのウルトラマンは見慣れているので斬新さは薄かったが、洋画的なセリフ回しは面白くキャラクターとしてはかなり好き。トレギアの言葉にすぐに熱くなるなど、比較的短期な一面も垣間見ることができ、お披露目としては満点だった。せっかく怪獣を倒して帰ろうとしたのにトレギアに足を掴まれるという演出も面白い。しかし、フーマの登場も話の流れの中ではやや唐突だったのが残念。もしかしたらタイガは販促よりも物語を重視する方向性でいくのかもしれないが、そのバランスはうまくとってほしいところ。
なにはともあれ、これでトライスクワッドの3人がヒロユキの中で合流した。3話の感じではタイタスが他の2人を諫めるタイプの大人なキャラクターなのかと予想していたが、どうやら彼も一癖ありそうで、3人ともヒロユキにはかなりの負担になりそうだ。まだタイタスとフーマは登場して間もないためヒロユキとの接点は少ないが、これからうまく描写されることに期待。それぞれのキャラクターはとてもいいので、4人の関係性をうまく見せられればこの作品は化けるだろうと感じている。
今のところ4話ともかなり楽しめている。だが、タイタスやフーマの個性が強すぎて中心に据えるはずのタイガのキャラクターが若干薄まっている感もあり、ヒロユキの最初のバディとしてうまく立ち回ってもらいたい。また、人間関係以外での特徴は「宇宙人が地球でひそかに暮らしている」という点。これまでのシリーズにもそういうことは度々あったわけだが、回によってまちまちでもあった。しかしタイガは、宇宙人が地球にいることを強調している。『ウルトラマンX』が怪獣との共存を目指す主人公の物語だったが、『タイガ』は宇宙人との心の交流の物語なのかもしれない。それはヒロユキとトライスクワッドの関係性にも言えることで、第4話の会話でもあった「いい宇宙人と悪い宇宙人」をどう定義するかも重要なポイントになってくる。
これまでの主人公は「地球を守る」という人物が多かった印象だが、今回は「宇宙人を含む地球に住む人々を守る」というスケールの大きな物語。敵を一方的に倒す勧善懲悪なやり方ではなく、怪獣とも交流を図ろうとしたヒロユキの優しさがどう物語に影響を及ぼすのか期待だ。
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